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外科的根管治療

抜歯一歩手前の歯を残す治療法

虫歯が神経まで達してしまうと、根管治療(歯の根の治療)が必要になります。
根管治療の良し悪しで “歯の寿命” は大きく左右されます。

きちんと根管治療を行われていなければ、根っこに膿が溜まったりして再治療になります。
日本では根管治療の半分くらいが再治療になっているという事実があります。


このグラフからもやり直しの根管治療がとても多いというのがよく分かります。
悪くなった歯を再び治療すれば治るかというと、根管治療の専門医でも再治療の成功は難しく、数年後にまた同じトラブルに見舞われ抜歯になってしまうのが大多数です。

当院では根管治療しても治らない歯に対して抜歯にならないようにする外科的治療をおこなっています。

歯根端切除術

根管治療にはプロセスがあります。
当院では科学的根拠に則って、1工程づつ慎重に治療を進めていきます。ですからいきなり歯根端切除術を行うことはありません。
 

歯の根は人それぞれ形が違い、複雑な構造になっているため、細菌を取り除くのは非常に困難ですので
根管治療はじっくり時間をかけて丁寧な処置をおこなう必要があります。
 



根管治療を行っても治らなかった場合、抜歯をする前に行う治療が歯根端切除術です。
通常の根管治療では根っこの先に膿の袋が出来ていたら、歯の上から穴を空けて根の中を綺麗に消毒していきます。

通常の根管治療


歯根端切除術では膿の袋と殺菌出来なかった根の先を外科的に取り除きます。
通常の根管治療とは違い、直接歯の根の部分にアプローチします
 





当院では歯根端切除術はマイクロスコープを使用しておこなっております。
肉眼でおこなうのとマイクロスコープ使用でおこなうのには術式や成功率が大きく違います。

マイクロスコープ専用の特殊な器具を使用し、高倍率でライトを照らしながらおこないますので、特別なトレーニングが必要です。 手技に修練を積んだドクターが整った設備でしかできません。
 
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肉眼では確認出来ない病巣を見落とさず取り除くので、マイクロスコープを使用した歯根端切除術は成功率が高くなります。
マイクロスコープと肉眼での成功率の違いは論文でもデータがでています。

 

〈 マイクロスコープを使用した歯根端切除術と肉眼での歯根端切除術の成功率の違い 〉

Outcome of endodontic surgery: a meta-analysis of the literature–part 1: Comparison of traditional root-end surgeryand endodontic microsurgery.(Setzer FC et al.2010 Sep)
 

このデータでも確証されているようにマイクロスコープを使用すると処置の成功率は高くなります。

マイクロスコープを使用した歯根端切除はどこの歯科医院でも受けられる治療ではありません。
簡単な治療ではありませんが、歯を残すためには抜歯の前に検討する価値ある処置だと思いますので、まずはご相談ください。

症例紹介




右上奥歯がたたくと痛い、浮いた感じがするという主訴で来院されました。
他の歯科医院で診てもらったところ、大学病院を紹介され、歯は抜歯、膿の袋を取る手術をするために入院をし、全身麻酔で手術をしなければいけないと診断されたそうです。
患者様は大学病院を受診し、入院する寸前で、セカンドオピニオンで当院を受診されました。

この歯は8年ほど前に他の歯科医院で神経を取る治療をおこない、セラミックの被せ物が入っていました。



レントゲンを撮り、歯の根にできた膿の袋(歯根膿胞)しこんのうほう
を確認しました。

黄色い点線部分が膿の袋です。
このままでは隣の歯も感染してしまいます。



かなり歯根膿胞は大きく、レントゲンだけでは3次元的にどのようになっているのかが診断できないので、CTを撮影し精密な検査をおこないました



CT撮影像

左側の風船がふくらんだようなものが歯根膿胞です。
右側は健全なので何もありません。




 

左のCTはこのような断面図を見ています。




拡大図



別角度から見た像



レントゲンだけではわからない歯根膿胞の大きさや形などCT画像で精密に分析し、診断できます。
診断の結果、抜歯は行わずにまず被せ物を外して感染した根の消毒をし、その後状態をみて歯根端切除術を行う可能性をご説明し治療することになりました。

被せ物を外すと中が黒く、虫歯になっていました。
しっかり封鎖されていなかったので歯の中に菌が入り根に膿が溜まってしまったようです。


マイクロスコープを使用して精密な根管治療を行い、根の中をしっかりと消毒しました。この時点でもし歯に亀裂が入っていると抜歯になりますが、幸いこの方は大丈夫でした。

マイクロスコープなら小さな亀裂も見逃しません。

 
歯根端切除術を行う前には、メリットやデメリット、術後の経過などドクターからのご説明の時間をしっかり確保してインフォームドコンセントをします。

処置当日はいつもの治療の時と同じように来院していただき手術を行いました。
非常に大きな歯根膿胞でしたので、摘出した膿胞の一部を採取して病理検査をしました。検査の結果、悪性の所見はありませんでした。



どんな小さな事も早期発見し見逃さないよう病理検査も必要であれば行い原因を追求し対処しています。

抜糸に来院された際も、「痛みや腫れもなく安心しました」とおっしゃっていました。

その後も状態は良く、現在は経過観察で定期的に来院されています。
抜歯せず、全身麻酔で入院することもなく治療することができました。

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費用

歯根端切除術は保険外診療です。
費用は1歯につき103,500円です。

よくある質問

:痛みや腫れはどれくらいありますか? 処置の時間はどれくらいですか?

:痛そうと思われるかも知れませんが、処置中は局所麻酔が効いてますので痛みはありません。
手術の程度は「親知らずの抜歯」と同じくらいです。
マイクロスコープを見ながらの精密な手術ですので時間は1時間くらいかかります。

術後は腫れたような感じが多少ありますが膿の袋の大きさなどにより個人差があります。痛みは痛み止めの服用でコントロールできる程度です。
念のため手術当日はお休みできるようなスケジュールをおすすめいたします。

:手術後の経過はどのような感じですか? 

:術後は2~3日は腫れたり、痛んだりすることがあります。少しずつそのような症状は治まっていき、術後1週間で抜歯に来院された時はほとんど症状はなくなっています。

手術前にあった痛みなどは、手術2~3週間後には消失します。歯ぐきを押すとつっぱるような違和感を感じることもありますが、徐々に消失していきます。

骨の中の治療なので、手術を受けてから急に痛みなどの症状がなくなるのではなく、少しずつ組織が修復再生されていきます。治るのには6ヶ月後で経過をみなければいけません。

:歯根端切除術はどの歯でもできるのですか?

:歯根端切除術は病気の大きさや歯の根の状態を詳しくレントゲンやCTで診断しなければいけません。
一度ご相談の上、診察をお受けください。 

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