歯の試着

歯は試着してから買う

洋服を買う時や靴を買う時、試着しますよね?
自分の体にサイズが合っているか・シルエットや色など見た目が良いか・機能的に問題ないかなどを試着してみてチェックすると思います。
安価なものや数回使ったら捨ててしまうものなどは、もしかしたら試着せずに買うかもしれません。
でも高価で毎日ずっと使うものなら、試着してみたり選ぶのに慎重になりますよね。

歯は試着してから買う

では、歯の治療で削ったところを補うために被せ物を入れることになった時、歯医者に『歯の試着をしてみましょう』と言われたことはあるでしょうか?
おそらく、歯の型を取ったら次にはカブセ物が出来上がっていて、少し調整したら装着したという方が多いと思います。

歯のカブセ物(差し歯)は、装着したら毎日休まず使用します。そして決して安いとは言えない値段です。
それなのに、試着もなしにお口の中に入れて使うのは不安ではないですか?
奥歯は人からはそんなに見えませんが、きちんと噛めるか機能的に大丈夫か確かめたくはないでしょうか。
前歯は良く見えるので、形や色が自分の口に合っているか、不自然ではないか確かめたくないでしょうか。

歯のカブセ物(差し歯)は『人工臓器』や『義肢』と同じくらい機能的や審美的に、体にとって重要です。
お口に合わないカブセ物を入れると、噛み合わせのバランスが崩れてしまいます。
バランスが崩れると、顔や口が歪み、さらに体も歪んできます。そして頭痛や肩こり、腰痛なども引き起こします。

歯は試着してから買う

そのようなトラブルが起こらないように、『歯も試着をしてから買う』ということがとても大事です。

究極の試作品

歯を削って、カブセ物を入れる前に歯を試着することが大事ということは前述したとおりです。
ここでは試着する歯がどのようなものなのかをご説明したいと思います。

歯科医院で『仮歯を入れる』というのは聞いたことがあるでしょうか。
歯を削ったあと、最終的に入れる被せ物ができるまでの間に削った歯に一時的にかぶせておく歯のことです。

実はこの『仮歯』種類が二つあります。
一つは、『テンポラリークラウン』と呼ばれるものです。

究極の試作品

写真のような既製品の中から、患者さんの歯の大きさに近いものを選んで少し調整して作るものです。
スーツでいうと既製品です。素材や形も決まっており、サイズを大体合わせていく。

テンポラリークラウンの目的と特徴

  • 食事などで不都合が出ないようにする。奥歯の治療の場合、歯が無くなると噛めなくなるので それを補う。しっかりは噛めない。
  • 見た目。前歯など見えるところの歯がないと視覚的に問題が出るのでそれを補う。但し、形は 自分の歯と全く同じにはならない

このように、張りぼての様で応急処置的な意味合いが強いのがテンポラリークラウンです。
 
もう一つの仮歯は『プロビジョナルレストレーション』と呼ばれます。
聞きなれない言葉だとは思いますが、『プレ(先行して』『ビジョン(完成を見越した姿を描く)』
『レストレーション(回復、元に戻す)』という言葉が示すとおり、最終的なカブセ物を想定していれる仮歯を指します。

スーツでいうとフルオーダーのようなものです。素材もその方に合うように色々ありますし、サイズもかなり細かくチェックして合わせていきます。そしてスーツでいうところの『仮縫い』を何度も繰り返し、機能的にも審美的にも満足いく仕上がりを追求します。そして、仮合わせしたものと全く同じものを最終的な素材で作るのです。
究極の試作品
テンポラリークラウンとは全く精度が異なり、プロビジョナルレストレーションはいわば究極の試作品になります。

プロビジョナルレストレーションの目的と特徴

精確な噛み合わせ

最終のカブセ物に使う素材は、一度形を作ってしまうと多少削ることは出来ても、増やすことは出来ません。
一度削ってしまうと、少し高さが足りなかった時にはもう後戻りできず、カブセ物を作り直す事になってしまいます。

しかしプロビジョナルレストレーションであれば、足したり引いたり自由にできる素材で作るのでちょうど良い噛み合わせを調整して、精度を高めることができます。

歯ぐきの調整

『歯を作るのに歯ぐきの調整?』と思われるかもしれません。
歯が無くなると歯ぐきの位置が変わってきます。特に前歯部など審美的なところは、他の歯と歯ぐきの調和を図るためにも仮歯による歯ぐきの調整が必要です。
歯茎を調整する前・調整した後

歯ぐきとカブセ物の境目を合わせる

歯ぐきとカブセ物の間に伱間が空いていると、段差ができて歯垢が溜まりやすくなり、掃除しづらいために歯周病や虫歯を発症する可能性が高まります。
そういった不具合が出ないように、仮歯の段階でこの歯と歯ぐきの境目をピッタリ合わせて調整します。

隙間が空いたカブセ物仮歯を入れたところ

自然な噛み合わせ

いくら『キレイ』で『歯にそっくり』で『理想的な噛み合わせの形』のカブセ物を作ったとしてもお口に入れて、しっかり噛めるのかと言えば必ずしもそうではありません。
歯科医院ではチェアに寝た状態で、『はい。カチカチ噛んでみて下さい。ギュッと噛んでみて下さい』と言われて、噛み合わせの調整をします。
自然な噛み合わせ
でも実際どうでしょうか。私達は食事するときには座っていますし、『これを食べるときはカチカチ噛もう』『これはギュッと噛もう』など意識して噛んでいるわけではありません。
無意識に顎を動かして食事をしているのです。
また、夜寝ているときにする歯ぎしりや食いしばりも無意識にしてしまっています。
ということは、歯科医院でカブセ物を調整して入れた時は『普段の状態とは違う』ということです。

プロビジョナルレストレーションは、普段の状態で実際に噛んで使うことができます。
いつも食べている食事を取ってもらったり、夜寝ている間での無意識な状態でも問題ないかを試せるのです。
人それぞれ噛み癖や、舌の動かし方、頬に内側の粘膜の厚みなど千差万別です。
自然な噛み合わせ

プロビジョナルレストレーションの素材は、強く当たる箇所は削れるという特徴があります。
仮歯としてお口の中で使用することにより、その人の噛み癖に合わせて必要のない部分は削れて行きます。
使用しているうちに、勝手に噛み合わせの調整をしてくれているようなものです。
そしてその人にとってベストの形を作成し、究極の試作品が出来上がるのです。
自然な噛み合わせ
仮歯ではない最終のカブセ物の素材は強度を保つため、非常に硬い素材で作成します。
もしそのカブセ物を試着なしで強力なボンドで付けてしまったら、、、

食べ物が詰まりやすくなったり、思ったよりも形が大きくて違和感を感じたりすることがあります。
しかし何か支障が出てもボンドで付けてしまっているので、取り外しはできません。
我慢するか、カブセ物を壊して外しやり直すほかないのです。
自然な噛み合わせ

そのようなことが起きないように、歯の試着をすることはとても大事です。

ほぼホンモノ

プロビジョナルレストレーションは、究極の試作品と言う名にふさわしく機能的にも審美的にもほぼ本物と変わりません。

治療前

治療前

仮歯(プロビジョナルレストレーション) 装着時

仮歯(プロビジョナルレストレーション) 装着時

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