「奥歯にセラミックを入れて大丈夫?」

と患者様からよく質問される事についてお話したいと思います。

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昔は奥歯にセラミックはあまり良くないと言われていました。

セラミックというのは、元々メタルボンドという被せ物のことで

金属のカブセの上に、セラミックをくっつけたものです。

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このセラミックは約50年前に開発され、長きにわたり患者様の歯として使用してきました。

しかし、このセラミック(メタルボンド)には欠点があります。

 

①歯を削る量が多い

2つの材料を使うために、カブセの厚みも分厚くなります。その分、歯を削る量も多くなり、綺麗な色に仕上げる為には、2㎜程度歯を削る必要が出てきます。

 

②色がわるい

金属の色を消すために、白い修正液の様な色を塗るのですが、それを塗ってもなかなか金属の色は消えません。

よって、グレーがかった白色の様な色になります。

また、歯茎の周りのように、歯をあまり削れない場所は、色が黒ずんだりします。

歯茎が黒くなってる人を見た事があるかと思います。

あれはメタルボンドのメタルの色が出ているために黒く見えてしまっています。

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③欠けやすい、割れやすい。

先程申し上げたように、メタルボンドは金属にセラミックをくっつけてあります。

金属は強い強度を持っていますが、上のセラミックはとても強度が弱いです。

なので上のセラミックが割れたり、欠けたりする為、咬む力がダイレクトにかかる奥歯にはセラミックはダメだ!と言われていました。

 

 

 

では、オールセラミックはどうでしょうか?
オールセラミックスとしてある材料の中で、強度が強く奥歯に使用出来るのは、ジルコニアという材料でした。

当初のジルコニアはメタルボンドと同様にジルコニアフレームの上に、セラミックを盛っていました。

 

豆知識 1.001

 

しかし、これはとても問題のあるカブセでした。

メタルボンドは金属とセラミックの相性が良かったので、強固にくっついていました。

しかし、ジルコニアとセラミックは相性が悪く、咬んだ時の衝撃により、ジルコニアフレームとセラミックが剥がれてしまう。という欠点がありました。

ですから、咬む力が加わる奥歯にオールセラミックは向かないと言われてきました。

しかし、ここで革命が起きました。
デジタルテクノロジーの飛躍的進歩です。
今までは、ジルコニアを複雑な形態に削り出す事はできませんでした。しかし、デジタルテクノロジーの進歩により、複雑な形態に加工する事が出来るようになりました。

 

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ジルコニアを複雑な形態に加工する事が可能になったため、強度の強いジルコニアに強度の弱いセラミックを盛りつけずに、そのまま無垢のジルコニア 単一でカブセを作れるようになりました。

それにより金属より強い ジルコニアのかぶせが登場しました。

 

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またテクノロジーは日に日に進歩し、当初 真っ白だったジルコニアも、自由に色をつける事ができるようになりました。

ジルコニアは金属より強度が強い為、奥歯でも十分に機能を発揮できるようになりました。

また、ジルコニアは硬すぎるので、対合歯を傷つける、、という話を聞きますが、これも近年の研究で否定されています。

ジルコニアは硬い為、面をつるつるに研磨する事によって、対合する歯とあたっても削れない事がわかっています。

逆にセラミックの方が摩耗する事によって、結晶体が露出し、表面がささくれて、対合歯を傷つける事がわかっています。

 

これらの事から、これからは奥歯に無垢のジルコニアを入れる事が、当たり前のようになり、いい成績を残していくでしょう!!

 

 


 

 

  • 奥歯3本の銀の詰め物をジルコニアにされた患者様の写真です。

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豆知識 写真.002

 

ちなみに、ジルコニアは魔法の材料ではありません。

しっかりと咬み合わせを合わせて、口にいれないと全く咬めないのでご注意を。