『セラミックの被せ物にするのにはなぜ仮歯が必要?』
仮歯ってなんのために必要なんだろう?
そう思われている方も多いことかと思います。
被せ物の治療の際には仮歯を入れます。
仮歯のことを専門的には「テック」や「プロビジョナルレストレーション」と呼びます。
仮歯とは最終的な被せ物が入るまでの期間の間の仮の被せ物のことを言います。
プラスチックの材料でできており、簡単に修正が可能です。
実は、この仮歯は治療をしていくうえでとても大切な役割を果たしているんです!
仮歯を入れる目的は
・歯の神経や歯周組織(歯ぐき)を保護する
・土台となる歯が動くのを防ぐ
・咀嚼・発音・審美性(見た目)を維持する
・被せ物の設計の参考にする
・土台の歯が汚染されるのを防ぐ
・歯が割れるのを防ぐ
など様々な役割があります。
治療をする際に歯を削ったままにしていては咬めなかったり、歯がしみたり、
歯が倒れてきたり、食べ物がはさまるなど、様々な問題がでてきます。
そのため、被せ物の治療をする歯には仮歯を入れる必要があるのです。
今回はセラミック治療においてなぜ仮歯が必要なのか?について詳しく説明していきます。
セラミックの被せ物にする場合、被せ物の土台となる歯を削ったあと型取りをし、患者様のお口に合わせて技工士が仮歯を作製します。
そのあと仮歯を患者様のお口に入れ、日常的に使用し、実際に食事をして頂き不具合がでないかを確認します。
歯科医院でも調整はしてるのですが、治療用の椅子に座って咬んだ時の咬み方と、ご飯を食べるときの咬み方、夜寝ている時の咬み方はそれぞれ違います。よって実際に使用してもらわないとわからない事などもたくさんあります。
また、具体的には形が大きすぎないか、歯と歯の間の隙間はどうか、噛めるのか(食べ物がはさまる、ほっぺたを噛んでしまう等問題がないか)を確認する必要があります。
形に問題ないこと、しっかり噛めることを患者様に確認して頂いたあと、セラミックの被せ物を製作していきます。
技工士がセラミックを作る際、患者様のお口の模型上で理想的な形に製作しますが、模型には舌や頬粘膜(ほっぺたの内側の粘膜)がないため、どうしてもわからない事もあります。そのため、調整ができる仮歯で一度形をつくり実際に使ってもらい問題がないことを確認してから本当の被せ物を入れるという手順になります。
つまり仮歯の状態で被せ物の大きさや細かい形態を決定し、仮歯の調整をするという
ステップを踏むことで、より良質な被せ物を入れることが出来るというわけです。
一見、仮のものと思われがちですが仮歯は審美的な面でも機能的な面でも実はとても大切な役割を果たしています!
次に複数の歯をセラミックにする場合( 理想的な噛み合わせにする場合 )についてご説明します。
セラミック治療の場合、何回か仮歯を作り替えます。
まず治療する全ての歯を一度仮歯におきかえます。
この時、噛み合わせは元の噛み合わせと同じ状態のままです。
(この時の仮歯のことをファーストプロビジョナルレストレーションと呼びます)
複数の歯を治療する場合、治療する全ての歯を一度に型取りし一つの模型上で理想的な噛み合わせになるように製作する必要があります。しかし複数の歯を治療する場合、同時に削って型を取るとなると非常に長時間になってしまいます。そのため、いくつかのブロックに分け、数回に分けて(何日かにわけて)この作業を行います。
例えば右上、右下、左上、左下と分けるとすると
①右の上下を削る・型を取る
②右の上下を仮歯にする
③左の上下を削る・型取り
④左の上下を仮歯にする といった流れです。
治療をする歯が全て仮歯に置き換わったらここで全ての歯を型取りします。
この型取りで上下左右が一つの模型になり、その模型を用いて理想的な形、理想的な噛み合わせの仮歯を製作します。
(この時の仮歯のことをセカンドプロビジョナルレストレーションと呼びます)
この仮歯をお口にいれていただき不具合がある場合は調整し、この歯で大丈夫!となった時点で被せ物と同じ形の仮歯を入れ最終チェックをします。
(この仮歯のことをファイナルプロビジョナルレストレーションと呼びます)
※セカンドプロビジョナルレストレーションが最終的な仮歯になる場合もあります
これで問題がないことを確認した上で最終的なセラミックを作製するという流れになります。
少し手間がかかりますがこのステップをふむことで患者様のお口に合った良い被せ物を入れることができます!